天に向かって真っすぐに成長する竹。
この竹を使って机を作る職人が御浜町にいます。
『熊野古道工房』の古芝辰巳さん。
1センチから2センチ角にカットした竹を組み合わせ、デザインを考えていきます。
和
裁用ものさしからヒントを得て、竹の作品を作っている
竹を切ってから3ヶ月は寝かせます。
割って炊いて油抜きをして、それからまた3ヶ月寝かせてから加工して板にします。
竹は割ったとしてもやはり丸さがあるので、板にするのに時間がかかります。
それからさらに板にしてから半年ほどかかります。
接着剤で竹と木がどう付くかを考えて。
名古屋の接着剤会社に聞いて、勧めてもらったものを使って。
それでまた、雨ざらし・日晒しにして、どれだけ沿ってくるか、糊が効くかも確かめないといけません。
作品作るのに7〜8年かかります。
もう十何年にもなりますが、色は一緒。
作った当時とほとんど変わりません。
こちらの作品は二十何年になります。
竹細工を一番最初に思いついたのは、昔の『くじらざし』というものがあったでしょ。
和裁用のものさしです。
小学校でランドセルの横に挿していたでしょ。
ものさしにするくらいだから伸び縮みがないと思ったのです。
ず
っと竹を使った作品を作りたかった
大工をはじめて20歳くらいのときかな。
竹細工をしたいと思って、45歳くらいに親方にやってみようかと言われて、それからですね。
竹の床板というのが出てきたんですよ、その話があってから。
防虫剤を入れているので、色が茶色かったんです。
薬品が入っていたので。
自分の作品は食卓だから、薬品は使っていません。
杉やヒノキと違って、勝負が早いです。
5年で成長して止まりますから。
スギ・ヒノキは30年とか50年かかるでしょ。
竹は早く成長するのに、なんでみんな使わないんだろうと不思議でした。
竹
を2メートルのところで切り、それを細かくカットして張り合わせる
竹は節節が必ず逆目になるので、カンナでは削れません。
こっちから削ったら、こちらが逆目になります。
なのである程度揃えて、そこからソリの無いようにサンダーを掛けていかないと、とても完成しません。
乾いていない木だったら、いくら浸けていても引っ張っていても縮んでいきます。
竹だったら苦労しないのにな、と思い、それで初めて竹の良さがわかりました。
竹というのは筍が出てくるでしょ。
最初の1本は男、2本枝になったら女という感じで、種類があるらしいです。
上に行くほど色は白くなってくるので、だいたい2mで一回切ります。
3ヶ所くらいで切らせてもらったかなあ。
やっぱり木を買って使ったほうがいいかなとも思いますが、やっぱり机が好きだったこともあり、ケヤキや杉など、大きな木で作ったこともあります。
あれはあれで、木が大変ですからね。
富
士山や扇をデザインしてパーツを組み合わせる
デザインが大変です。
まっすぐしないといけないし、かといって富士山を作るとなったら山も尾根も谷もあります。
何回もデザインしても気に入らないことがたくさんあります。
僕は旅行が好きで、あちこち行きます。
道の駅などにも行きます。
奈良の道の駅に行くと、奈良は杉が有名ですから、杉で作ったコースターのデザインを見て、参考にしたり。
思ったらすぐ、やらないと忘れてしまうので。
それで富士山もできて、今度は扇にしようとしたり、いろいろしてきました。
折り目が斜めに切って、ここが折れたように見せないといけないので、そういうのが難しいですね。
平らにして絵にしようと思ったらね。
並べるだけだったら楽ですけどね。