FM三重「ウィークエンドカフェ」2022年6月11日放送

天に向かって真っすぐに成長する竹。
この竹を使って机を作る職人が御浜町にいます。
『熊野古道工房』の古芝辰巳さん。
1センチから2センチ角にカットした竹を組み合わせ、デザインを考えていきます。

裁用ものさしからヒントを得て、竹の作品を作っている

竹を切ってから3ヶ月は寝かせます。
割って炊いて油抜きをして、それからまた3ヶ月寝かせてから加工して板にします。
竹は割ったとしてもやはり丸さがあるので、板にするのに時間がかかります。
それからさらに板にしてから半年ほどかかります。
接着剤で竹と木がどう付くかを考えて。
名古屋の接着剤会社に聞いて、勧めてもらったものを使って。
それでまた、雨ざらし・日晒しにして、どれだけ沿ってくるか、糊が効くかも確かめないといけません。
作品作るのに7〜8年かかります。
もう十何年にもなりますが、色は一緒。
作った当時とほとんど変わりません。
こちらの作品は二十何年になります。
竹細工を一番最初に思いついたのは、昔の『くじらざし』というものがあったでしょ。
和裁用のものさしです。
小学校でランドセルの横に挿していたでしょ。
ものさしにするくらいだから伸び縮みがないと思ったのです。

 

っと竹を使った作品を作りたかった

大工をはじめて20歳くらいのときかな。
竹細工をしたいと思って、45歳くらいに親方にやってみようかと言われて、それからですね。
竹の床板というのが出てきたんですよ、その話があってから。
防虫剤を入れているので、色が茶色かったんです。
薬品が入っていたので。
自分の作品は食卓だから、薬品は使っていません。
杉やヒノキと違って、勝負が早いです。
5年で成長して止まりますから。
スギ・ヒノキは30年とか50年かかるでしょ。
竹は早く成長するのに、なんでみんな使わないんだろうと不思議でした。

 

を2メートルのところで切り、それを細かくカットして張り合わせる

竹は節節が必ず逆目になるので、カンナでは削れません。
こっちから削ったら、こちらが逆目になります。
なのである程度揃えて、そこからソリの無いようにサンダーを掛けていかないと、とても完成しません。
乾いていない木だったら、いくら浸けていても引っ張っていても縮んでいきます。
竹だったら苦労しないのにな、と思い、それで初めて竹の良さがわかりました。
竹というのは筍が出てくるでしょ。
最初の1本は男、2本枝になったら女という感じで、種類があるらしいです。
上に行くほど色は白くなってくるので、だいたい2mで一回切ります。
3ヶ所くらいで切らせてもらったかなあ。
やっぱり木を買って使ったほうがいいかなとも思いますが、やっぱり机が好きだったこともあり、ケヤキや杉など、大きな木で作ったこともあります。
あれはあれで、木が大変ですからね。

 

士山や扇をデザインしてパーツを組み合わせる

デザインが大変です。
まっすぐしないといけないし、かといって富士山を作るとなったら山も尾根も谷もあります。
何回もデザインしても気に入らないことがたくさんあります。
僕は旅行が好きで、あちこち行きます。
道の駅などにも行きます。
奈良の道の駅に行くと、奈良は杉が有名ですから、杉で作ったコースターのデザインを見て、参考にしたり。
思ったらすぐ、やらないと忘れてしまうので。
それで富士山もできて、今度は扇にしようとしたり、いろいろしてきました。
折り目が斜めに切って、ここが折れたように見せないといけないので、そういうのが難しいですね。
平らにして絵にしようと思ったらね。
並べるだけだったら楽ですけどね。